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2006/07/07

糖尿病の主因は肥満:果物を含む習慣で予防

糖尿病には1型糖尿病、2型糖尿病、妊娠糖尿病などの病型があり
ますが、日本では約90%が2型糖尿病です。最近、フィンランド
と日本で果物を含む食習慣が2型糖尿病の予防に有効であるとの研
究結果が発表されました。

 2型糖尿病は、身体がインスリン抵抗性を示すためインスリンの
働きが悪くなり、インスリンを多く必要とするのに必要量を分泌で
きないと発症します。過食、運動不足、肥満などが発症に関係して
いると考えられてきました。

 2型糖尿病発症の理由を解明するために、アメリカで18歳~79歳
の約31,000人を対象に1997年から2003年まで追跡調査が行われま
した(文献1)。その結果、7年間で2型糖尿病患者が千人当たり
1.9人から6.9人へと41%も増加していました。また、同時期に
肥満とされる人も千人当たりで14.2人から18.3人へと増加し、2型
糖尿病発症と関係していることが分かりました。一方、運動と2型
糖尿病との間にはこのような関係ははっきりしませんでした。その
ため研究者らは2型糖尿病の主要因は肥満であると結論づけています。

 2型糖尿病予防には、果物、野菜、カロテノイド、葉酸などの効果
が明らかとなっていますが、食品は単独で食べられることはないため、
予防のための食事パターン(食習慣)の解析が求められていました。

 フィンランドで1967-1972年に糖尿病に罹患していなかった男女
4,304人を対象に23年間の追跡調査が行われました(文献2)。調査
の結果、2つの主要な食事パターンが特定されました。果物と野菜
を多く摂取することが特徴的な「バランスのよい適度な」食事
パターンと、バター、じゃがいもなどの摂取で特徴づけられる
「伝統的な」食事パターン(欧米型食事)です。

 2型糖尿病の発症に対して、「バランスのよい適度な」食事パタ
ーンの人は、そうでない人と比べてリスクが28%低いことが分か
りました。このグループでは、果物(ベリー類を含む)を1日当
たり平均で209.9g摂取していることが分かりました。一方、「伝統
的な」食事パターンでは2型糖尿病発症率が増加していました。

 以上の結果から、研究者らは2型糖尿病予防には、果物と野菜を
多く摂取する栄養バランスのよい食習慣が有効であると結論づけています。

 日本ではどうでしょうか。日本人は、遺伝的に欧米人より糖尿病
になりやすいため、欧米のデータをそのまま適用することはできな
いとされてきました。そこで、九州大学と自衛隊病院とが共同し
て男性の自衛隊員2,106人を対象に2型糖尿病と食事パターンに
ついて調査を行いました(文献3)。

 調査から1)果物、野菜、乳製品、デンプンを多く摂取し、アル
コールの摂取量が少ない食事パターン(DFSA食事パターン)、
2)動物性食品の多い食事パターン(西洋型食事パターン)、3)
果物や乳製品の摂取量の少ない伝統的な日本型食事パターンの
三つの食事パターンが特定されました。

 食事パターンと2型糖尿病発症との関係について検討した結果、
果物などを多く摂取するDFSA食事パターンの食生活をしている
人は、そうでない人と比べて49%2型糖尿病の発症リスクが少な
いことが分かりました。この果物などを多く摂取するDFSA食事
パターンは、心臓病や脳卒中などの予防のためにアメリカで提唱
されているDASH摂取プランと類似の食事パターンであることも
分かりました。また、この結果は、果物を食べると2型糖尿病に
なるとの説は誤解であることも示しています。

 一方、他の二つの食事パターンではリスク減少効果は認められ
ませんでした。伝統的な日本型食事パターンに予防効果が認めら
れなかった理由として、日本人の果物摂取量と乳製品の消費量が
少ないためではないかと著者らは推測しています。

 以上の結果は、農林水産省や厚生労働省がまとめた「食事バラン
スガイド」や「毎日くだもの200グラム」などで提唱されている
果物を含む新日本型食習慣は、2型糖尿病予防に有効であることを示しています。

【文献】
1) Geiss, L.S. et al.: Changes in Incidence of Diabetes in U.S.
Adults, 1997-2003.
 Amer. J. Prev. Med. 30: 371-377. (2006)
[doi: 10.1016/j.amepre.2005.12.009]
2) Montonen, J. et al.: Dietary patterns and the incidence
of type 2 diabetes. Am. J.
 Epidemiol. 161: 219-227. (2005)
3) Mizoue, T. et al.: Dietary patterns and glucose tolerance a
bnormalities in Japanese
 men. J. Nutr. 136:1352-1358. (2006)
農水省HPより。

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2006/07/05

心筋梗塞で若死にしない7ヵ条

ゲンダイの記事より~

「絶対やめろ」と「もっとやれ」を実行

 ラグビー元日本代表監督の宿沢広朗氏が急死した。三井住友銀行取締役専務執行役員としてバリバリ働いていた、55歳の屈強な元ラガーメンの命を奪ったのは心筋梗塞。改めてこの病気の怖さを思い知らされた人も多いはず。そこで、働き盛りのサラリーマンが心筋梗塞で若死にしないためには何をやっちゃダメで、何を積極的にやるべきなのか。榊原記念病院の伊東春樹副院長に聞いた。

 動脈硬化で冠動脈が詰まり、心臓に血液が届かなくなって心筋が壊死を起こすのが心筋梗塞だが、想像を超える厄介な病気なのだ。
「心筋梗塞が怖いのは、血管がまだ半分も詰まっていない状態から一気に完全閉塞して起こる発作が、全体の6割以上を占めること。その段階では、階段を上ると胸が苦しいなど事前の自覚症状はありません。患者の6割以上は、何の前触れもなく突然発作に襲われているのです」
 心筋梗塞の主な危険因子は、心臓病の家族歴、高血圧、肥満、高コレステロール血症、糖尿病、たばこ、運動不足の7つ。サラリーマンにとっては、身に覚えがあるものが多いはず。
「危険因子を取り除くための節制はもちろん必要ですが、発作の直接的な引き金となる行動を避けたり、発作を招かない予防行動を取ることも重要です」
 それは何かを、具体的に紹介しよう。

【×】…喫煙
 たばこは動脈内壁を傷つけて動脈硬化を促進するだけでなく、発作の引き金にもなる。
「たばこを吸うと交感神経が活発になり、血管が収縮して血圧が上昇します。また、血液の粘度も高まり血栓ができやすくなって、血管がつまってしまうのです」
 喫煙者の心筋梗塞の発症リスクは、非喫煙者の2倍。発作が心配なら即刻やめるべきだ。宿沢氏もヘビースモーカーだったという。

【×】…激務や過度の疲労・ストレス
「徹夜明けや睡眠不足が続く、仕事のストレスがたまる、といった状態の後に発作が起こるケースが多いのです」

【×】…脱水状態になる
 体の水分が不足すると、血液の粘度が高まり、血管が詰まりやすくなる。夜遅くまで仕事をし、翌日に炎天下でロクに水分も取らずゴルフをするなんてことは論外である。
「長時間のフライト中に酒を飲んで発作を起こすケースも多い。機内は湿度が十数%と低いうえ、飲酒による利尿作用で知らず知らずに脱水症状を起こしているのです」

【×】…軽い運動でムリをする
「発作を起こしやすいスポーツは、ゴルフが2位で、1位はハイキングです。ともに軽い運動ですが、少し苦しさを覚えても途中で引き返せず、連れもいるため、ついムリをしてしまうのです」
 宿沢さんも、家族連れも歩くような登山の途中で倒れた。「この程度の運動で……」と甘くみるのは厳禁だ。

【○】…定期的に有酸素運動をする
「1日30分~1時間の早歩きなど有酸素運動を行うと、血管の詰まりが進みにくくなり、改善するケースも見られます」
 危険因子の肥満や生活習慣病も改善できるので、一石二鳥だ。

【○】…少量のアスピリンを服用する
「アスピリンには、血小板の働きを抑え、血栓ができるのを防ぐ効果があります。市販品でも大丈夫ですが、常用することのリスクも伴うので、必ず医師に相談を」

【○】…歯周病を治療する
 意外だが、歯肉炎などの歯周病が動脈硬化の原因になるというのだ。
「歯周病があると、人間ドックの検査項目にもある炎症マーカー“CRP”が高くなります。この数値が高い状態が続くと、動脈硬化や心筋梗塞を起こしやすいことがわかっています。慢性的な歯周病があったら、早めに治療してください」

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2006/07/03

中性脂肪67%低下 実証された青魚の威力

青魚には必須脂肪酸であるオメガ3脂肪酸が含まれています。
魚の汚染も気になりますし、たくさんはなかなかとれないので、毒性チェックをし安全基準を満たした
サプリメントで補うのもよいでしょう。

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 EPAはコレステロールと中性脂肪を下げる。
 それは、多くの研究で証明されていて、効果が最もあらわれるのは、コレステロールと中性脂肪の両方が高い人の場合である。
 オレゴン大の研究者が、被験者に鮭(さけ)を毎日、10日間食べてもらった研究では、健常者の場合、血中コレステロール値は最高17%の低下をみた。高脂血症患者の場合は、最高20%の低下だった。
 中性脂肪のほうは、健常者で最高40%、高脂血症患者の場合は、実に67%の低下をみたのだ。
 EPAが中性脂肪を下げる働きは調整的で、血液中の中性脂肪の量が多すぎると、全身に指令を発動させて、中性脂肪を分解する酵素を作り出させる。そうやって中性脂肪値が高くなりすぎるのを防ぐのだ。
 EPAは、魚の脂肪に多く含まれている脂肪酸で、いわし、あじ、まぐろ、さば、鮭などの、青魚に特に多く含まれている。いわしの魚肉100グラム中に含まれている量は、種類によって異なるが、0.4~1.4グラムである。

 毎日そのくらいの量のEPAを摂(と)っていれば、中性脂肪を下げる働きが期待出来るけれども、魚を食べない日がつづくような場合には、サプリメントで補うべきだろう。
 EPAは、中性脂肪とコレステロールを下げるだけでなく、血液をさらさらにして血栓症や心臓病のリスクを下げることがわかっている。
 文明社会におけるEPAの疫学調査は、1980年代のはじめに、千葉大の研究者たちが、勝浦と柏で行ったのが最初で、その成績は世界中の研究者の間で、大きな反響を呼んだ。
 漁港のある勝浦と、農村地帯の柏では、住民の魚の摂取量が違い、それが血小板の凝集能と、赤血球の変形度の違いとなって、はっきり示されたからだ。
 むろん、血小板凝集能が下がれば、血液の粘度が下がって、さらさらになり、赤血球変形度が上がれば、末梢血管への流れがよくなる。
 魚の摂取量は、勝浦の人たちの1日平均250グラムに対して、柏の人たちは80グラムで、血小板凝集能は高く、赤血球変形度は低かった。

●まるもと・よしお 1934年、大分県生まれ。東京大学文学部仏文科卒。作家、栄養学ジャーナリスト、料理研究家。

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